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2001 年度 実績報告書

ヒト胚性幹細胞(ES細胞)における自己複製・分化機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13480204
研究機関金沢大学

研究代表者

横田 崇  金沢大学, 医学系研究科, 教授 (50134622)

研究分担者 西中村 隆一  東京大学, 医科学研究所, 客員助教授 (70291309)
小出 寛  金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (70260536)
キーワードLIF / gp130 / STAT3 / トランスジェニックマウス / エストロジェン受容体 / タモキシフェン / 生殖系列伝達 / キメラマウス
研究概要

コンディショナル活性化型STAT3を使用することにより、STAT3の活性化のみでマウスES細胞の自己複製能、および生殖系列伝達能つまり全能性維持に十分であることを明らかとした。また、ES細胞やEG細胞で特異的に発現している転写因子Oct-3/4は、その定量の発現が、内部細胞塊の形成、ES細胞の未分化状態の維持に必須であることが明らかにされている。LIFあるいはSTAT3のシグナルは、Oct-3/4と協同する未知の因子の発現を維持することにより、分化抑制に働いていると推測される。そこで、STAT3の下流遺伝子(群)でOct-3/4と協同する因子を同定し、ES細胞が未分化状態を維持するメカニズムの核心に迫ることを目的とした。DNAチップ解析、フィルターハイブリダイゼーション法により候補遺伝子としてZfp57(Znフィンガータンパク質)およびEed(embryonic ectoderm development,ポリコームタンパク質)を同定した。Zfp57はOct3/4と結合し、Oct3/4の標的遺伝子であるRex-1の発現を協同的に促進することが明らかとなった。一方、EedはHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)と複合体を形成し、標的遺伝子の転写抑制に関与する可能性が考えられる。そこでHDACの阻害剤を添加すると、LIF存在下でもES細胞は分化が誘導された。したがって、HDACによる分化誘導因子の発現抑制にEedが関与している可能性が示唆された。さらに、EedがRex-1とも結合することを見いだした。以上の結果から、Oct3/4とSTAT3の標的分子であるZfp57によって誘導されたRex-1がSTAT3標的分子EedやHDACと結合して、ES細胞の分化誘導因子の発現を抑制することによって、ES細胞の未分化状態が維持されている可能性が考えられた。
ヒトES細胞は1998年にウイスコンシン大学のThomsonらにより樹立されている。しかし、LIFに反応しない、一個の細胞からシングルクローンとして増殖できないなど欠点を抱えている。そこで、細胞外からのシグナルではなく、STAT3という細胞内シグナル伝達分子を直接活性化してヒトES細胞を自己複製させることが考えれる。ヒトES細胞にSTAT3ERを遺伝子導入する計画は大学の倫理委員会に実験計画書を申請し、国の機関であるヒトクローン・生殖委員会での指針にもとずく承認を待っている段階である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Nakayama, N., Yokota, T., et al.: "A novel chordin-like protein inhibitor for bone morphogenic proteins expressed preferentially in mesenchymal cell lineages"Developmental Biology. 232. 372-387 (2001)

  • [文献書誌] Nishinakamura, R., Yokota, T. et al.: "Murine homolog of SALL1 is essential for ureteric bud invasion in kidney Development"Development. 128. 3105-3115 (2001)

  • [文献書誌] Mizutani, S., Koide, H. et al.: "Involvement of B-Raf in Ras-induced Raf-1 activation"FEBS Lett.. 507. 295-298 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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