研究概要 |
アクチビン受容体細胞内ドメインと会合するPDZドメインをもつ分子群ARIP(Activin Receptor Interacting Protein)とをアクチビン結合蛋白質であるフォリスタチン様分子とによるアクチビン情報伝達系の細胞内外における制御の分子機構を明らかにし、アクチビンの活性制御の分子的基盤をより明確にすることを目的としている。今回は、次のような成果を得た。 1.オーファン受容体として報告していたALK7はアクチビンIIA型受容体とダイマーを形成し、アクチビンAB, B, nodalをリガンドとして用いシグナルを伝える事を明らかにした。さらに、ALK7を高発現している膵臓ベータ細胞において、アクチビン刺激により、インスリンの合成、分泌がともに亢進する事を示した。 2.ARIP分子群の1つARIP2はPDZドメインを1つ持ち、これを介してアクチビン受容体II型と結合することを明らかにした。ARIP2を過剰発現させるとアクチビン受容体の細胞内局在が細胞膜から細胞質へと変化した。また、ARIP2は受容体のエンドサイトーシス制御因子であるRalBP1とも結合することが判明した。これらの結果からARIP2はアクチビン受容体II型のエンドサイトーシスを制御していることが明らかにされた。 3.フォリスタチンのプロモーターはAP1サイトおよびCRE-likeサイトを含み、そのmRNAはPKCおよびPKAの経路で発現誘導された 4.B細胞ハイブリドーマHS72のアクチビンによるアポトーシス誘導にはDok-1が必要であることがエクソントラップ法により示された。Dok-1はSmad3の核移行を促進することが分かった。これらの結果から、膜直下にあるDok-1上でSer/Thrキナーゼ系シグナルとTyrキナーゼ系シグナルとがクロストークしていることが明らかにされた。
|