研究概要 |
単頭キネシンKIF1Aは微小管上をプラス端方向にバイアスのかかったブラウン運動をおこない,全体としてプラス端方向に運動することが1分子蛍光像の解析により明らかにされた(岡田,広川Science 1999).今回レーザートラップを用いたナノ計測を行い,この運動を詳細に検討した.KIF1Aはプラス端方向だけでなく,マイナス方向にもステップ状の変位を行ない,最大力は1pNに達した.ステップの頻度とATP分解速度が等しいことから,1分子ATP分解当り平均1ステップが対応している.ステップサイズは8nmの倍数にピークを持つガウス分布(中心+3nm,分布幅15nm)を示したことから,KIF1Aの運動は方向性のある運動(+3nm)とブラウン運動(分布幅15nm),そしてtubulinの特定位置への結合(8nmの倍数)によると考えられる.KIF1Aの運動方向をきめる過程を捉えるために,微小管から解離していたKIF1A(おそらくADP結合状態)が微小管に結合する時の位置を測定したところ,平均プラス端方向に3nmの変位を示した.これらのことから,ADP結合状態のKIF1Aは微小管への方向性のある結合によって前進を行うのであろう. 蛍光性のCdSeナノ粒子は有機蛍光分子よりも蛍光を発する時間が長くかつ蛍光光度が強いことから、生命科学や医療分野への利用が注目されている。本研究では蛍光性ナノ粒子に対する細胞の反応を調べた.抗体を架橋した~10nmのCdSe粒子を白血球細胞が貧食する鮮明な像を長時間観察できた。この方法は単一分子の細胞内挙動の探索に威力を発揮するものと期待される
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