精緻な分子機械である蛋白質の動作原理や構造構築原理を解明し、その巧みさを学び取ろうと、膨大な数の立体構造解析が行われている。一方で、蛋白質がなぜ水の中で立体構造形成するのか、水は蛋白質ダイナミクスにどのような影響を及ぼすのかといった点については十分明らかにされてきたわけではない。本研究では、蛋白質と水の相互作用をより深く知ることで、蛋白質の立体構造形成、ダイナミクスや機能発現における水の役割をミクロスコピックに解明するための研究の展開を試みた。研究代表者は、これまでに極低温高分解能X線結晶構造解析の方法論を確立すると共に、同解析が蛋白質の水和構造について重要な知見をもたらすことを明らかにしてきた。本研究では、極低温高分解能結晶構造解析、分子動力学計算を実施するとともにプロテインデータバンクに登録された立体構造モデルを利用して、以下の項目について研究を実施し、論文発表を行うと共に、各種国内・国際会議から多数の招待講演を受けた。 (1)蛋白質水和構造の特徴づけ。 (2)水和構造の動的性質と蛋白質ダイナミクスの相関。 (3)極低温解析と分子動力学計算で得られる水和構造の比較。 (4)水和構造の解析、データベース化、水和構造予測計算プログラムの構築。 (5)蛋白質のガラス性転移と水和構造の相関解析 (6)低温結晶構造解析用装置類の開発と構造解析への応用。
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