ヒトのテロメアDNA結合タンパク質のhTRF1はDNA結合ドメインに1個のMybドメインを含んでいる。Mybドメインは3本のヘリックスを持ち3本のヘリックスは3個のTrpを含む疎水的なコアで安定化されていた。DNAと相互作用する部分は、3番目の認識ヘリックスとフレキシブルアームと呼ばれるN末端領域である。認識ヘリックスがDNAの大きな溝に入り、N末端がDNAの小さな溝から巻き付くように結合する。1個のMybドメインでTAGGGTT配列を認識でき、しかもモデル構築からTRF1はテロメアDNAの繰り返し配列を立体障害無く密にタンデムに認識できる事が判った。また、TRF1のDNA認識に関与するアミノ酸はTRF2にも高度に保存されていることからTRF2の2本鎖テロメアDNA認識の様式はTRF1とほとんど同じであることを確認した。また酵母のテロメアDNA結合タンパク質のscRap1Pのホモログがヒトで単離されhRap1と命名されたがscRap1Pと異なりDNA結合能は無いが中央部に1個のMybドメインを含んでいる。hRap1のMybドメインの構造解析の結果今までのMyb様モチーフのフォールドと全く同じフォールドであったが明らかに表面の電荷分布が異なっていた。TRF1のMybドメインは表面に強い正電荷を分布しておりこの正電荷の表面がDNAの負に荷電したリン酸骨格と相互作用をしていた。しかしhRap1のMybドメインには対応する正電荷表面が存在しない。同じMybドメインにもDNA特異的結合性MybドメインとDNA非特異的結合性で恐らくタンパク結合性Mybドメインの2種類が存在する。
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