(1)膜タンパク賛による転写因子の膜局在化の新樽構の発見:グルコース誘導に関与するリプレッサーMlcを同定し、グルコーストランスポーターであるIICBGlcはMlcと結合しMlcを膜にトラップすることを発見した。これにより転写因子が膜タンパク質のリン酸化状態に対応して細胞内の存在場所を変えることでその働きが制御されているとのモデルを提唱した。 (2)解糖系によるptsGの転写後段階での発現調節機構の発見:解糖系遺伝子の変異株ではIICB^<Glc>のをコードするptsGmRNAの分解が促進されること、この分解促進にはRNaseEが関与していること、ptsGのmRNAの分解促進め初期シグナルがG-6-PまたはF-6-Pの集積であることを発見した。 (3)グルコース代謝阻害による一連のタンパク質の合成誘導の発見:解糖系の阻害によりcapsular polysaccharideの合成に関与するcpsオペロンの転写を誘導すること、この誘導はRcs2成分制御系の活性化によることを見いだした。 (4)糖代謝応答におけるtmRNA系の関与の発見:tmRNA率の細胞内の標的の1つがLacリプレッサー(LacI)mRNAであること、翻訳の誤読による正常な終止コドンのリードスルーがtmRNA系の標的を産み出すことを見出した。mRNA上の正常な終止コドン自体が新生ペプチドのC末端のアミノ酸配列に依存してトランス翻訳の標的になること、tmRNA系が合成された欠陥ペプチドの排除にとどまらず、欠陥mRNAの分解を促進することにより欠陥ペプチドの合成そのものを抑制するという、より巧妙な品質管理機構として働いていることを発見した。
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