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2001 年度 実績報告書

誤りがちなDNAポリメラーゼκのマウス精巣における特異的な発現機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13480229
研究機関京都大学

研究代表者

大森 治夫  京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (10127061)

キーワードDNAポリメラーゼ / 突然変異 / 精子形成 / 遺伝子発現 / Polκ / 減数分裂 / 転写開始点 / AnR-Arnt
研究概要

筆者らは大腸菌DinB蛋白のホモログをコードするヒト及びマウスの遺伝子としてそれぞれDINB1,Dinb1を見出した。DINB1のコードする蛋白がDNAポリメラーゼ活性を持つことを明らかにして、pol κと命名した。ヒトDINB1、マウスDinb1はPOLK, Polk遺伝子と改名された。DINB1、Polk遺伝子は精巣で最も高く発現されている。pol κはエラーを起こし易いDNAポリメラーゼであるから、それが精巣で発現が高いことは精子DNAに突然変異を誘発する可能性が考えられた。POLK, Polk遺伝子の発現制御機構を探る目的で、それらの遺伝子のpromoter領域のDNA塩基配列、および転写開始点の位置を決定した。その結果、両遺伝子の発現を制御領域にはAhR-Arnt転写活性化因子が結合する配列であるXREと相同な配列が見つかった。AhR-Arntはベンゾピレンなどの化合物が体内に侵入すると、それと結合することによって自ら活性化されて、特定の遺伝子の発現を活性化する。そのような遺伝子の中で最も良く研究されてきたのがCyp1A1遺伝子であり、それがコードするP450蛋白はベンゾピレンを代謝して体外に排出しようとする。しかし、代謝されたベンゾピレンの一部が染色体DNA中のグアニンに付加することから、ベンゾピレンは発がん作用を引き起こす。我々はベンゾピレンと構造的に類似した3-メチルコランスレンをマウスに腹腔に注入すると精巣でのPolk遺伝子の発現が増大することを観察した。これらのin vivoでの結果は、精製したpolκがベンゾピレンがグアニンに付加した損傷を誤りを起こさずに効率良くバイパスするというin vitro結果と考え合わせると、polκがそのような損傷による突然変異を下げる役割を果たしていると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Ohmori, H: "The Y-Family of DNA Polymerases"Molecular Cell. 8. 7-8 (2001)

  • [文献書誌] Ogi.T: "Expression of human and mouse genes encoding pol κ: testis-specific developmental regulation and AhR-dependent inducible transcription"Genes to Cells. 9. 943-953 (2001)

  • [文献書誌] Burgers, P.M.J: "Eukaryotic DNA Polymerases : Proposal for a Revised Nomenclature"Journal of Biological Chemistry. 276. 43487-43490 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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