研究概要 |
AAAプロテアーゼFtsHの解析 1.FtsHのATPaseドメインの結晶構造を解き、6量体構造モデリングを行った。その結果、ATP加水分解の「分子間触媒モデル」が支持された。 2.基質トランスロケーションに働く残基を同定し、この残基が側鎖の長い非電荷の残基であることが活性に必要であることを証明した。これにより「糸通しモデル」が支持された。 3.蛍光偏光法により蛍光標識基質のFtsHによる加水分解反応を追跡した。 4.ガラス表面に吸着したFtsHへのATP結合反応を1分子イメージングで追跡する解析系を確立した。 線虫のAAAタンパク質の解析 1.遺伝性痙性対麻痺の原因因子parapleginは、ミトコンドリアに局在するFtsHのホモログである。線虫のparapleginを欠損させると、致死・成長遅延・進行性の運動能低下などが観察され、組織化学的検討ならびに電顕観察から、ミトコンドリアの異常が観察された。 2.ポリグルタミン結合タンパク質として同定されたAAAタンパク質p97/VCPホモログ(C41C4.8とC06A1.1)のRNAi assayを行なった。両者を同時に不活化すると胚性致死の表現型を示した。電顕観察により多数の空胞を認めた。 3.体壁筋で長さの異なるポリグルタミン鎖(polyQ32,40,56,79)を発現させ、鎖長依存的凝集体形成を観察した。凝集体形成は加齢には依存しなかった。このときp97/VCPホモログ(C41C4.8とC06A1.1)と、近縁のタンパク質MAC-1をそれぞれ共発現させると、いずれの場合にもpolyQ56凝集体形成が部分的に抑制された。
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