膜4回貫通型蛋白質CD9とそのファミリー分子の機能解析

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13480238
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 目加田 英輔 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20135742)
• 研究分担者: 宮戸 健二 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (60324844)
• キーワード: 膜融合 / 受精 / 線虫 / 膜4回貫通型 / テトラスパニン / CD9

研究概要

本研究は、膜4回貫通型の蛋白質CD9の(1)膜融合現象における役割、(2)インテグリンを介した細胞接着との関わり、(3)線虫を用いたTM4ファミリーの機能解析、について実験を進め、CD9とそのファミリー分子の構造と機能の関係を解析し、この分子の生理的役割を明らかにすることを目指している。今年度は以下の研究を進め、次のような成果を得た。
(1)膜融合現象におけるCD9の役割
CD9-/-の未受精卵にCD9、CD81、あるいはこれらを改変したミュータントのmRNAを注入、発現させ、融合能をレスキューする実験を行った。その結果、CD9 mRNAを注入すると融合能がレスキューされること、CD81 mRNAではレスキューされないことを見いだした。この系を用いて、レスキューに必要なCD9の領域決定を行い、CD9のC末端が重要であることを明らかにした。次に、CD9のC末端部位に結合する分子をtwo-hybrid法にて探索し、数種の候補分子を同定した。
(2)線虫を用いたTM4ファミリーの機能解析
線虫に存在するCD9ファミリー(テトラスパニンファミリー)20種について、cDNAを分離し、feeding RNAi法によって発現抑制を行い、その効果を調べた。その結果、TSP-15を抑制した場合に表皮が剥離し、致死に至る表現型を示した。現在、TSP-15が表皮の機能とどのように関わっているかを詳細に解析している。

研究成果

• [文献書誌] Takenobu, H., etc: "The stress-and the inflammatory cytokine-induced ectodomain shedding of heparin-binding EGF-like growth factor is mediated by p38 MAPK, distinct from TPA-induced signaling cascades"J. Biol. Chem.. (in press).
• [文献書誌] Iwamoto, R., etc: "HB-EGF and ErbB signaling is essential for heart function"Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.. (in press).
• [文献書誌] Kawashima, M., etc: "CD9 expression in solid non-neuroepithelial tumors and infiltrative astrocytic tumors"J. Histochem. Cytochem.. 50. 1195-1203 (2002)
• [文献書誌] Yu, X., etc: "Ligand-independent dimmer formation of EGFR is a step separable from ligand-induced EGFR signaling"Mol. Biol.. 13. 2457-2547 (2002)
• [文献書誌] Shimizu, T., etc: "Elevated cerebrospinal fluid levels of anti-CD9 antibodies in patients with subacute sclerosing panencephalitis"J. Infect. Dis.. 185. 1346-1350 (2002)