研究課題/領域番号 |
13480240
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
今本 尚子 理化学研究所, 細胞核機能研究室, 主任研究員 (20202145)
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研究分担者 |
小瀬 真吾 理化学研究所, 細胞核機能研究室, 研究員 (90333278)
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キーワード | 核一細胞質間輸送 / 核内輸送担体importinβ / 核外輸送担体CAS / 低分子量GTPase Ran / importinα / 核膜孔複合体 / p10 / NTF2 / hsc70 |
研究概要 |
importinαは核内輸送担体importinβで核内に運搬され、核外輸送担体CASで核外に運搬される。生細胞内でCASとimportinβの挙動を調べると、importinβは優位に細胞質に局在し、CASは優位に核に局在することが判明した。セミインタクト細胞を用いたin vitro輸送再構成系で、生細胞で観察されたimportinβとCASの挙動の再現を試みたところ、importinβは系に加えた細胞質抽出液とATPに依存して核外に移行し、CASは系に加えた細胞質抽出液とATPに依存して核内に移行した。このことから、核内輸送担体importinβと核外輸送担体CASは、各々が基質を受け取る場にリサイクリングするために、核膜孔を逆方向に通過するように積極的に制御されていると判断した。 importinβとCASのリサイクリングを担う因子を、輸送再構成系を用いて同定することを試みた。その結果、importinβのリサイクリングにはRan、p10、hsc70、が関与すること、CASのリサイクリングにはRanとp10が関与することがわかった。importinβのリサイクリングを促進するには、hsc70が核内に移行する必要があり、これはhsc70が核内または核膜孔複合体の核質側で作用する可能性を示している。一方、importinαを積極的に核内に送り込むと、CASの核外移行が誘導されることが確認された。これは、Ranとp10の作用によるCASの核内集積が、importinαによる核内リテンションのためではなく、CASと核膜孔複合体構成因子の相互作用がRanの作用で変化する可能性を示している。本研究で、両輸送担体のリサイクリングを担う因子を同定できたことが評価でき、今後、同定した各々の因子が作用する因子を具体的に同定していきたいと考えている。
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