研究概要 |
広義の大脳皮質である海馬と嗅球を構成する細胞群の定量解析及びニューロン相互関係の解析を進めた。マウス海馬においては2つのGABAニューロン群サブポピュレーション群、1)カルシウム結合蛋白parvalbumin(PV)、calbindin D28k、calretinin含有ニューロン、2)ペプチド含有GABAニューロンCCK,VIP,somatostatin,neuropeptide Y含有ニューロンについて、optical disector法による定量解析を進め、完了した。これらの解析により、マウス海馬においてGABAニューロン群の構成がほぼ明らかになり、これまでのラットでの所見との比較が可能になった。また、ペプチドであるCCKの海馬での存在様式、特に、主ニューロンでの存在がラットとマウスで大きく異なることが明らかとなり、マウス海馬での背腹方向での差異等その解析を進めた。また、海馬アストロサイトの構造解析,定量解析を進め、アストロサイトが比較的一定した分布密度を持ち,隣接細胞が5%程度のオーバーラップしかないドメイン構造をとることを明らかにした。 嗅球においては、そのニューロン構成をいくつかの動物種で検討し、我々が提唱している1型、2型の2種類の傍糸球体細胞が普遍的の存在すること、これまで食虫目であるジャコウネズミにしか存在が示されていなかった特異なシナプス野nidusが他の食虫目であるモグラにも存在するが、別の食虫目ハリネズミや、その他には存在しないことを明らかにした。また、嗅球のギャップ結合についてラット及びマウスで解析を進めた。電子顕微鏡連続切片法での解析ではラット、マウスともに主ニューロンであるmitral/tufted Cellと介在ニューロンの樹状突起間にギャップ結合が見られた。更なる解析で生理的に示唆されている主ニューロン間のギャップ結合の可能性も検討している
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