研究概要 |
RFRP1,RFRP3は同一の前駆ペプチドより由来すると考えられており。それぞれの特異抗体をもちいて脳における免疫染色を行うと、抗RFRP1抗体、抗RFRP3抗体の免疫反応は視床下部腹内側核外周の神経細胞体において全て共存する(平成13年度実績報告書に記載)。しかし、RFRP3のC末端の構造は、別種のRFアミド関連ペプチドであるNPFFとも一致している。NPFFに関する形態学的解析は1980年代よりなされてきたが、その報告中のNPFF含有神経細胞体の分布領域は、われわれが見出したRFRP1,RFRP3免疫陽性神経細胞体の分布領域(視床下部腹内側核外周)を含むものであった。そこで今回RFRP、NPFF神経産生細胞の鑑別を行うため以下の実験を行った。現在用いている抗RFRP3抗体、および市販抗NPFF抗体を用いた抗体染色に先んじて、吸収試験をおこなったところ、抗RFRP3抗体はRFRP1、NPFFには反応しないが、市販抗NPFF抗体はRFRP3に交叉反応を示すことが明らかとなった。さらにRFRP mRNA、NPFF mRANに対するin situ hybridizationを行ったところ、視床下部腹内側核外周にはRFRP mRNAのみが、室傍核、視索上核、孤束核、三叉神経脊髄路核にはNPFF mRANのみが発現していた。以上より、これまでに報告されたNPFF産生神経細胞の分布の中で、一部は近年発見されたRFRPとの混同があったことが明らかとなった。
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