研究課題/領域番号 |
13480256
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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研究分担者 |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (50303847)
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キーワード | 神経突起 / Rho / Rnd1 / Elmo / RhoG / 軸索ガイダンス / Plexin / 神経回路 |
研究概要 |
神経回路は、特異な細胞極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形成する複雑なネットワークシステムである。この神経突起形成に低分子量G蛋白質、Rhoファミリーが深く関与しており、細胞骨格の再構築により、RhoAは神経突起の退縮を、Rac1とCdc42は神経突起の伸長を引き起こすことが知られている。しかし、Rhoファミリーにはこれらのメンバー以外に多数のG蛋白質が存在するが、それらの神経機能はほとんど不明である。そこで、その神経機能が不明であるRnd1とRhoGの情報伝達機構を調べた。 Rnd1の中枢神経系での役割を明らかにするため、Rnd1に結合する分子を酵母のtwo-hybrid法でスクリーニングし、軸索ガイダンス分子、Sema4Dの受容体、Plexin-B1の細胞内領域に、Rnd1が結合することを見いだした。Rnd1はPlexin-B1に安定に結合し、RhoのGEF、PDZ-RhoGEFのPlexin-B1への結合を促進し、RhoAを活性し、Sema4DによるPlexin-B1を介した細胞体退縮を引き起こした。このことから、Rnd1はSema4D/Plexin-B1による軸索ガイダンス作用に深く関わっていることが強く示唆された。 我々は、PC12細胞において、RhoGがNGF/Rasの下流でRacとCdc42を活性化し、NGFによる神経突起伸長に必須であることを明らかにしてきた。しかし、RhoGがどのような機構でRacやCdc42を活性化するのかは不明であった。そこで、RhoGに結合する分子を酵母のtwo-hybrid法でスクリーニングし、ElmoがRhoGの特異的なエフェクターであることを見いだした。ElmoはRacのユニークなGEFであるDock180に結合する分子であり、RhoGはElmo/Dock180を細胞膜にリクルートし、Racを活性化した。そして、このRacを活性化する新しい情報伝達経路であるRhoG/Elmo/Dock180がNGFによる神経突起伸長に必須であることを明らかにし、神経回路形成の重要な情報伝達機構であることが分かった。
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