研究課題/領域番号 |
13480259
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90280734)
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研究分担者 |
田畑 秀典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80301761)
味岡 逸樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10348790)
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キーワード | リーラー / 神経細胞移動 / 抑制性神経細胞 / スライス培養 / インサイド・アウト |
研究概要 |
まず、マウスの大脳皮質スライスにおける神経細胞移動の様子をリアルタイムで観察し、個々の細胞の挙動とダイナミックな形態変化過程を明らかにするため、新たに最高250視野までを同時に共焦点で継時観察できる多点同時継時観察システムを開発した。これにより、脳室帯で新たに誕生した神経細胞がその後皮質表面にまで移動していく発生プロセスを、詳細にかつ効率よく観察することが可能になった。この系を用いて、脳室下帯及び中間帯において一時的に移動細胞が多極性細胞となって移動する際の挙動を明らかにすることができた。すなわち、これらは、全体としては最終的に脳表面へと向かうものの、各時点においては様々な方向を向き、時には脳室面へと逆行するものもあること等を見いだした。また、脳の神経細胞には、興奮性細胞と抑制性細胞とがあり、興奮性細胞は外套の脳室帯で誕生して放射状に脳表面へと移動するのに対して、抑制性細胞は、腹側の基底核原基で誕生して脳表面に平行に移動して皮質に進入する。前者に比して、後者の挙動についてはまだ情報が少ない。そこで、本研究では、抑制性神経細胞の配置に関して解析を進め、いくつかの新しい知見を得た。まず、抑制性細胞も興奮性細胞同様inside-outパターンで配置するものの、妊娠12.5日目生まれの抑制性細胞は、浅層と深層の2層性に配置する事を見出した。一方、妊娠12.5日目生まれの興奮性細胞は、VI層に一つのピークを形成した。妊娠15.5日目生まれの抑制性細胞と興奮性細胞は、共にII/III層に一つのピークを形成した。また、興奮性細胞の配置異常が生じるリーラー突然変異マウスにおいては、抑制性細胞はinside-outパターンをとらない事を見出した。
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