哺乳類中枢神経系の発生と再生の制御機構

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13480267
• 研究機関: 慶應義塾大学
• 研究代表者: 島崎 琢也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00324749)
• キーワード: ES細胞 / noggin / Embryoid Body(EB) / 神経幹細胞 / 運動ニューロン / コリン作動性ニューロン / GABAニューロン / ドーパミンニューロン

研究概要

ES細胞からの種々の神経幹細胞およびニューロンの分化誘導とそのFACSによる分離精製:ES細胞を神経系に誘導する因子として知られているnoggin存在下でEmbryoid Body(EB)を形成させ、そこから神経幹細胞に選択的な培養条件を使って神経幹細胞を分離するシステムをまず確立した。また、そのES細胞由来神経幹細胞はin vitroで分化させると主に運動ニューロンを含むコリン作動性ニューロンやGABAニューロンに分化することが判明した。さらに、この神経幹細胞の選択的培養時にsonic hedgehogを加えることによって、コリン作動性ニューロンの分化効率が50%程度まで上昇させることができた。そこで、同様にして得た神経幹細胞を、中隔核のコリン作動性ニューロンを薬剤によって変性脱落させ記憶障害を起こしたマウスの海馬に移植したところ、in vitroと同様にコリン作動性ニューロンをin vivoで産生し、記憶障害も回復させることが分かった。一方、Tyrosin hydroxylaseあるいはnestin遺伝子のプロモーター制御下でEGFP遺伝子を発現するベクターを導入したES細胞を樹立した。そして、これらのES細胞から、ストローマ細胞であるPA-6をfeeder layerとしたin vitro分化系を用いてEGFPを発現するドーパミンニューロンや神経幹細胞を生産し、FACSによって分離精製することに成功した。

研究成果

• [文献書誌] Kohyama, J., Abe, H., Shimazaki, T., Koizumi, A., Nakashima, K., Gojo, S., Taga, T., Okano, H., Hata, J., Umezawa, A.: "Brain from bone : efficient "meta-differentiation" of marrow stroma-derived mature osteoblasts to neurons with Noggin or a demethylating agent"Differentiation. 68. 235-244 (2001)
• [文献書誌] Shingo, T., Sorokan, S., Shimazaki.T., Weiss, S.: "Erythropoietin regulates the in vitro and in vivo production of neuronal progenitors by mammalian forebrain neural stem cells"J Neurosci. 21. 9733-9743 (2001)
• [文献書誌] Shimazaki, T., Shingo, T., Weiss, S.: "The ciliary neurotrophic factor/leukemia inhibitory factor/gp13O receptor complex operates in the maintenance of mammalian forebrain neural stem cells"J Neurosci. 21. 7642-7653 (2001)
• [文献書誌] Represa, A., Shimazaki, T., Simmonds, M., Weiss, S.: "EGF-responsive neural stem cells are a transient population in the developing mouse spinal cord"Eur J Neurosci. 14. 452-462 (2001)