遺伝的に異なった動物が示す多様な行動パターンを制御する遺伝的プログラミングを解明し、行動がどのような遺伝的変化により進化するか明らかにするために、行動遺伝学を進めてきた野生マウス由来のKJR系統は高活動性であるのに対し、BLG2系統は低活動性を示すこの2つの系統を交配して得られたF1雑種は高活動性であることから、高い活動性は優性に遺伝することが予想された。このようなKIR系統の高活動性に関わる遺伝子座を解明する目的で、戻し交配によるN2個体群を用いたQTL解析を行った。その結果、KJR系統の高い自発運動性に関わる遺伝子は染色体の3番遠位部位に存在することが示され、Loco1と呼ぶことにした。更にこのLoco1と相互作用する遺伝子座を明らかにするために、N2個体群の中からKJR由来のLoco1遺伝子座を持つ個体を選抜し、更にQTL解析を行った。その結果、第17番染色体にLoco1と相互作用する遺伝子座が新たに見いだされ、Loco2と名付けた。このように、KJR系統のマウスが示す高い活動性は、Loco1とLoco2に存在する遺伝子が働く事により生じることが示された。また。遺伝子内にポリグルタミン配列を有するものをマウスで網羅的にリストアップし、野生由来系統を含む16系統でその多型を解析した。このような多型は蛋白質の機能に影響を与える可能性があり、今後の研究が期待できる。
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