研究課題/領域番号 |
13480288
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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研究分担者 |
岩崎 泰彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90280990)
渡邉 順司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60323531)
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キーワード | ポリマーアロイ / リン脂質ポリマー / ポリウレタン / 生体適合性 / 相溶性 / キャスト膜 / 複合化 / 埋植材料 |
研究概要 |
ポリマーアロイ調製のためのベースポリマーとして、バイオマテリアルとして市場要求の高いポリウレタンを選定した。このポリウレタンに対して親和性を持ち、容易に複合化の可能な生体適合性2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーの合成を行った。MPCポリマーの分子設計は、ポリマーアロイによる複合化において溶媒ブレンド時の相溶性や、製膜後のブレンドポリマーの脱離、溶出の低減を考慮してポリウレタン中のソフトセグメントと分子間相互作用を強めるためにウレタン基を側鎖に有するメタクリル酸エステルとの共重合体によりなされた。得られたMPCポリマーとポリウレタンを溶液ブレンドによりキャスト膜を調製したところ、20wt%ていどまでポリウレタンに対してブレンドできることが明らかとなった。また示差走査熱量測定の結果から、MPCポリマーはポリウレタンの非晶領域にブレンドされていることが示唆された。一方、バイオマテリアルとして必要な力学強度は、昨年度の設備備品として購入したレオメータによって評価した。その結果、MPCポリマーをブレンドすることによる著しい強度の低下は認められなかった。X線光電子分光測定による表面解析の結果から、生体適合性を有するMPCユニットが表面近傍に存在することも明らかとなった。実際にヒト血小板多血漿を接触させたところ、90分接触後においてもポリマーアロイでは血小板粘着が生起していなかった。一方で、コントロールであるポリウレタン膜では、大量の血小板粘着が生起し、それらは粘着による活性化に伴って偽足を形成していた。このことから、MPCポリマーをブレンドしたポリウレタン膜(ポリマーアロイ)は血液と接触した際の血小板粘着、活性化による埋植初期の生体反応を緩和することが明らかとなった。
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