研究課題/領域番号 |
13480299
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
宮脇 富士夫 東京電機大学, 理工学部, 教授 (50174222)
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研究分担者 |
梅津 光生 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90132927)
高谷 節男 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40154786)
福井 康裕 東京電機大学, 理工学部, 教授 (60112877)
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キーワード | 心機能回復促進型左心補助人工心臓 / 心尖部弁付きグラフト / 後負荷調整室 / 遠心ポンプ / 低左室仕事量 / 左室弛緩・拡張 / 至適心尖部弁サイズ / 模擬循環回路 |
研究概要 |
重症急性左心不全の回復は、左室の低仕事量と充分な弛緩・拡張の達成が鍵と考え、これを実現させる心機能回復促進型左心補助人工心臓(RDLVAD)を考案した。このRDLVADは、心尖部弁付きグラフト、後負荷調整室、遠心ポンプからなる。収縮期に後負荷調整室を低く保つことによって、左室に大動脈ではなく後負荷調整室に駆出させる。これによって低左室仕事量を実現する。このとき心尖部弁内径は駆出抵抗の主因となるので、昨年度作成した模擬循環回路における重症左心不全モデルを用い、RDLVADの心尖部弁の至適サイズを検討した。すなわち、心尖部弁内径が大きければ大きいほど駆出抵抗が少なくなるため左室発生圧力は低くなるが、その一方で左室心尖部への外科的損傷は大きくなるので、可能な限り最小の弁サイズを検討した。左心補助人工心臓を装着する前の重症左心不全状態(ベースライン)の血行動態は、心拍出量3L/min、心拍数100/min、大動脈圧80-90/50-60mmHg、左室拡張終期圧15mmHgと設定した。これに、大動脈弁内径に対する心尖部弁内径の比率がそれぞれ100%、75%、50%のRDLVADを装着し、血行動態がどのように変化するか検討した。1)50%の場合、左室圧はベースラインのそれを超えたため(大動脈遮断した場合)、50%ではRDLVADの利点を達成できないことが判った。2)100%の場合は、心拍出量(ポンプ流量)はベースラインの45%増加、収縮期圧時間係数は62%低下、平均大動脈圧は38%上昇、左室拡張終期圧は100%低下した。3)75%の場合、心拍出量は21%増加、収縮期圧時間係数は31%低下、平均大動脈圧は75%上昇、左室拡張終期圧は71%低下した。以上から、心拍数100/minの場合、心尖部弁が大動脈弁の75%であれば、RDLVADの低左室仕事量が達成できることが判った。
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