研究課題/領域番号 |
13490010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏之 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50292743)
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研究分担者 |
高槻 成紀 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (00124595)
佐々木 史郎 国立民族学博物館, 民族学研究開発センター, 助教授 (70178648)
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70169184)
安斎 正人 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助手 (60114360)
内山 純蔵 富山大学, 人文学部, 助教授 (40303200)
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キーワード | シカ・イノシシ / 持続的利用 / 民族考古学 / 動物生態学 / 動物考古学 / 先史考古学 / 民俗学 / 文化人類学 |
研究概要 |
本研究の目的は、先史時代から現在まで、人類にとって最も重要な動物資源であったシカ・イノシシ資源の利用と獲得技術の歴史的変遷を学際的に明らかにし、今日問題になっている野生動物資源の持続的利用と管理に関する合意可能な歴史動態論的提言を行うための基礎的研究を行うことにある。 研究第一年目の今年度は、これまで分立して進行してきた関係諸学の成果を整理することを目的に、東京で2回の研究会を開催した。7月の第一回研究会では、今後の研究計画の打ち合わせを行い、9月の第二回研究会では、2名の講師を招いて、民族学および動物考古学の研究成果を発表してもらい、ディスカッションを行った。 1)先史時代のシカ・イノシシ資源の利用状況を把握するため、列島及び周辺大陸の遺跡出土データの集成作業を開始し、本年度は、北海道及びロシア地域の集成作業に着手している。 2)特に北海道縄文時代は、本州とは異なり海獣狩猟にも比重が高い複合的な生業戦略が展開していた可能性があるため、後期の貝塚遺跡間での比較調査を実施した。 3)列島近隣で現在盛んに狩猟活動が行われているロシア沿海州のウデヘ人を対象とした調査を実施した。その結果ソ連崩壊後の経済危機によって減少していたクロテンを始めとする小型毛皮獣の狩猟数が持ち直していることがわかった。資源量に関わるデータからは、毛皮獣資源・内獣資源ともに現状の捕獲状況で十分持続的資源利用が可能であることがわかった。 4)ところで動物資源の持続的利用のためには、その基礎となる資源量の動物把握が必要となる。今年度は、東北地方のシカ個体群の年齢構成を明らかにするために、切歯サンプル1000個の年齢査定を実施した。また、下顎骨も同時に計測を行い、歯と下顎骨から年齢や体重を推定する技術の確立に努めている。こうしたデータを基に、東北地方の縄文時代貝塚出土シカ資料の評価を行った。 5)全国のニホンジカ集団の体重情報を収集し、南北であきらかな勾配があることを明らかにした。ニホンジカは、生息条件によって体サイズを大きく変化させる種であることの証左である。 6)イノシシ狩猟の民族考古学的データを収集するため、台湾での予備的調査を実施した。その結果イノシシ資源の狩猟技術および狩猟者の行動に関する各種のデータを得ることができた。
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