研究概要 |
将来の人工衛星搭載用ミリ波帯降雨レーダの降雨エコーに混入して来るグラウンドクラッタの影響を定量的に評価する基礎データを得るため,実験室レベルで地表面の規格化レーダ散乱断面積を測定するミリ波帯散乱計の設計と製作を行った。次世代の衛星搭載降雨レーダはその観測精度向上等のために,既存の13.8GHzに加えて35.5GHzを加えた2周波レーダとすることが望まれている。そのため,中心周波数として,35.5GHzを選定し,ネットワークアナライザを利用したステップ周波数レーダ方式により,偏波散乱計を構成することとした。その具体的な設計では,地表面に対するレーダ方程式を用い,アンテナ(標準円錐型アンテナ)の地表面上におけるフットプリントの重なり面積を考慮した受信電力の評価式を導出した。その数値計算結果を元に,水平・垂直の2つの偏波及びその交差偏波に対して広いダイナミックレンジを有するようプリアンプのゲインを決定し,偏波及びアンテナ入射角の自動調節可能な偏波散乱計の製作を行った。また,地表面による散乱波は,表面粗度及び土壌含水率により散乱特性が異なるため,サンプルを行う地表面粗度及び含水率が実際の計測において一定の特性を有するよう360度回転可能なターンテーブルの製作を行った。その結果,平成13年度において,次世代型人工衛星搭載ミリ波帯降雨レーダの設計に必要なグラウンドクラッタ影響評価データを収集する35.5GHz帯偏波散乱計の構築を行うことができた。
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