研究課題
周知の通り、北海道・有珠山は平成12年3月31日、昭和52年以来、23年ぶりに噴火した。幸いにも人的被害は皆無で済んだのであるが、住宅地や工場を含め、生活・生産面での物的な被害は大きかった。それから2年以上が過ぎ、噴火はようやく沈静化し、大部分の地域では避難解除がなされ、平常さを取り戻しつつある。本研究は、有珠山地域の災害実態に基づいて、その復興策の提起を総合的に行うことを目的としている。平成13年度は、災害が発生する以前の地域実態と災害発生後の地域変化を正確に分析し、それとの比較から、そこで発生しているあらゆる問題を把握することにつとめた。特に、地域経済・産業の変化、日常生活や医療福祉、学校教育などの変化、住宅・道路等のインフラ整備、義援金の配分や災害対策について、現地での実態調査を行ってきた。同時に、阪神淡路大震災の復興状況、長崎県雲仙普賢岳の防災対策事業等、本州の災害地の自治体・機関調査を行い、先進地の事例を参考にすべく、実態調査を行った。本格的なまとめは次年度の補足調査を終えてから行われるが、この実態調査から得られた新しい知見は、同じような災害であるが、置かれた地理的条件によって、その対策は大きく異なるということである。今日の防災対策計画・事業は全国画一・均一であるが、地域の災害状況によっては対応に変化をつける必要があることが大方の意見であった。次年度では、以上のようなことを念頭に置きながら、若干の補足調査を行い、最終報告書をまとめる。