研究課題/領域番号 |
13551005
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
伊達 仁美 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (00150871)
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研究分担者 |
宇田川 滋正 京都造形芸術大学, 歴史遺産研究センター, 主任研究員 (10340522)
尾立 和則 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40249917)
中村 利則 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (50330048)
木川 りか 独立行政法人文化財研究所, 東京文化財研究所・保存科学部, 主任研究官 (40261119)
日高 真吾 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 助手 (40270772)
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キーワード | 二酸化炭素 / CO_2 / 殺虫処理 / 民俗資料 / 生活資料 / 古文書 / 民俗文化財 / 民具 |
研究概要 |
平成14年度は二酸化炭素殺虫処理の実用化にむけ、前年度に蓄積した実験データおよび確立した条件設定や安全基準をもとに実施した。実験の環境設定として、A:二酸化炭素による殺虫処理に必要な最低温度とされている20℃〜25℃を常時確保できない施設、B:外気や床面からの環境変化を受けやすくかつ管理体制が整っていない施設とした。 A-1:京都市左京区京都造形芸術大学高原校舎(TE11教室)において、平成14年6月3日から17日まで従来の実験どおり、ガス投入期間は2週間とした。その結果常時20℃〜25℃以上は確保できない環境ながら、殺虫効果は確定された。(対象資料は旧家の生活資料) A-2:奈良市(財)元興寺文化財研究所資料室において、平成15年3月3日から24日まで期間は3週間とした。これは季節的に気温が低く室内温度も15℃前後であるため、期間を長くすることでの殺虫効果を確認するために設定した。現在供試虫による効果判定中である。(対象資料は古文書史料) B:石川県金沢市旧百万石文化園江戸村内移築民家園田家住宅において、平成14年7月16日から30日まで従来どおりの期間である2週間で行った。この施設は木造茅葺屋根で、壁から隙間風が入り外気の影響を直接受ける。また実験シートの床面は土間で湿度の影響が懸念された。しかし実験シート内の温湿度は比較的安定しており、殺虫効果ならびに彩色資料への影響はなかった。また地理的な問題から常時研究代表者および分担者の管理ができないため、途中経過観察は1回のみとした。(対象資料は和紙製作用具) 以上の結果、二酸化炭素殺虫処理に必要な最低温度、資料の容量や材質により初期濃度設定、シートの安全性の確立ができれば、管理体制が整っていない施設においても実施することが可能であり、実用化に1歩近づいたと考えられる。
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