研究課題/領域番号 |
13551005
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
伊達 仁美 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (00150871)
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研究分担者 |
宇田川 滋正 京都造形芸術大学, 歴史遺産研究センター, 主任研究員 (10340522)
尾立 和則 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40249917)
中村 利則 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (50330048)
木川 りか 独立行政法人文化財研究所, 東京文化財研究所・保存科学部, 主任研究官 (40261119)
日高 真吾 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 助手 (40270772)
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キーワード | 二酸化炭素 / 二酸化炭素殺虫処理 / 臭化メチル殺虫代替システム / 民俗資料 / 民俗文化財 / 民具 / 殺虫処理 / CO2 |
研究概要 |
平成15年度も前年度に引続き二酸化炭素殺虫処理の実用化にむけ、蓄積した実験データおよび確立した条件設定や安全基準をもとに実施した。今年度は特に資料の容量や材質により初期濃度設定、シートの安全性の確立を中心に実験を行った。また、二酸化炭素処理での懸案事項であった絵馬や絵画などの彩色のある資料への影響についても、温度や湿度を変えた実験を繰り返し、ほぼその傾向が把握された。これについてはさらに引続き実験を行う。 従来処理を行うシートについては、殺虫処理の対象とする資料の大きさにあわせて現場でテントを組み、シーラーによる熱圧着を行っていた。また小型資料には既製のファスナー式殺虫バッグを使用していた。ファスナー式バッグは、ファスナー部分に問題があり、ガスの漏洩などが生じていた。しかしファスナーやその圧着方法などに改良を重ね、十分信頼できうるものになった(殺虫バッグの製作は、液化炭酸株式会社による)。その結果、ファスナー式殺虫バッグは殺虫処理の対象とする資料の大きさにあわせ、自在の大きさに作成することが可能となり、従来の熱圧着型のシートでは圧着にも技術を要し、また一回限りの使用となっていた処理空間も繰り返し使用できることとなった。 今年度の実験は1)奄美文化財団原野農芸博物館2)元興寺文化財研究所において行った。対象資料は、1)日本・ラオス・マダガスカルなどの民族資料、2)近世の駕籠とした。特に2)駕籠は木材や竹等の植物性素材、鉄や銅の金属、紙、漆等、民俗資料特有の多岐にわたる材質から構成されている。二酸化炭素の初期濃度設定は、過去2年間にわたる資料の大きさや材質の違いによる実験で得た数値を用いて行った。 数値の確立と、簡易殺虫バッグの安全性の確立から実用化に一歩近づいたと考えられる。 なお、殺虫バッグによる処理については、伊達が第28回日本民具学会大会において口頭発表を行った。
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