研究概要 |
1 平成15年度の研究計画に沿って,まず第一に,労働組合のコーポレート・ガバナンスに関する意識調査を行った。 (1)どの労働組合にヒアリング調査を行うか,事前打診の段階で,労働組合はコーポレート・ガバナンスに関して関心は有するものの,具体的な取り組みをしているところがほとんどなく,調査対象を限定せざるをえなかった。 (2)企業の社会的責任に関する社内体制づくりについてアンケート調査を行い,労働・雇用に関する企業行動規範について取組みを進めている全日本金属産業労働組合からヒアリングを行った。 (3)もっとも着実に取組みを進め,また本研究と同じ方向性でガバナンス活動を捉えていたのは,ゼンセン同盟であった。 (4)東京電力が,企業内部のコーポレート・ガバナンス体制において,従業員の観点からかなり踏み込んだ仕組みを採用しており,その実情についてヒアリング調査した。 2 企業のコンプライアンス・プログラムに大きな影響を及ぼす公益通報者保護法案の骨子が明らかになるなど,内部告発をめぐる状況が変わってきた。そこで,(1)とくに会社外部に従業員の情報提供の受け皿を作ろうとしている企業(東京ガス,東京電力,内田洋行,富士ゼロックス)に対応策についてヒアリング調査を行った。 (2)また,内部告発を行ったことで不利益を受けた労働者の救済活動を行っている労働弁護団からヒアリング調査を行った。 以上の調査を通じて,本研究がスタートした当時に比べて,企業不祥事を摘発・抑止するための企業側の取組み,法制度の整備が,大きく前進している状況を確認できた。
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