研究課題/領域番号 |
13552001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 福岡大学 (2003-2004) 九州大学 (2001-2002) |
研究代表者 |
森 淳二朗 福岡大学, 法科大学院, 教授 (60079001)
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研究分担者 |
鈴木 不二一 財団法人連合総合生活開発研究所, 副所長
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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キーワード | コンプライアンス / コーポレート・ガバナンス / 従業員 / 企業理論 / 公益通報者保護法 / 企業不祥事 / 会社支配 / 中立弁護士 |
研究概要 |
1 本研究の目的 会社法は、監査役・取締役会が自ら情報集め、自ら監査・監督すると定めるが、本研究は、企業不祥事を早期に解消するためには、企業組織内でコンプライアンスに関する情報が早い段階から集まる仕組みを作ることと、企業組織内のあらゆる圧力(支配株主・経営者)にも屈せず、集めた情報を活用できる中立機関を作ることが不可欠であると提唱している。この構想を実現するためには、二つの課題がある。第一は、そうしたシステムの理論的根拠を明らかにすることであり、第二は、このシステムを利用しやすいインフラを整備することである。 2 第一の課題の解決 このシステム、とくに中立機関の理論的根拠を示すためには、新たな企業理論が必要である。これまで株式会社制度を分析することで、新たな企業理論のための基礎的理論を展開してきたが、必ずしも十分ではなかった。今回、本研究によって、株式会社制度における会社支配の仕組みが、効率性の最大の制度的仕組みであることを明らかにすることができた。その結果、新たな企業理論を、効率性とその規律づけという簡明な対極構造で構成することが可能になった。 3 第二の課題に解決 このシステムのインフラとして、具体的に、中立弁護士制度を整備することが肝要である。中立弁護士、従業員、監査役・取締役会の連携によって、このシステムは機能することになる。 以下の二つの事情によって、このシステムの実現可能性は高まったと考える。一つは、別の共同研究が、本研究の提唱する新システムこそ、コンプライアンス・プログラムのベストプラクティス・モデルとなりうるものと認めたことである。他は、福岡市の第三セクターである博多港開発株式会社が、このシステムの導入を決定したことである。企業不祥事を徹底排除する仕組みを採用すれば、市民と信頼関係を再構築できると考えたのである。
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