研究概要 |
本研究グループは今年度.官庁統計の個票データとしての開示のためのリスク評価や秘匿方法の研究と,官庁統計におけるサンプリング法の改善に関する研究を,個人あるいは相互に連携をとりながら行ってきた。関連したテーマの他の研究グループと共同で5回.本研究グループ単独で1回の研究会を開催し,研究の報告と共に意見交換を行った。 個票開示の理論面では,従来は何らかのモデルを用いて標本でも母集団でも一意である個体数を推定する手法が主流であったが,今年度,ノンパラメトリックな実用性のある手法が提案でき.大きな前進があったと思われる。また,表形式のデータに関する研究,秘匿後の個票データの有用性に関する研究も多方面から進められている。更に,語彙の度数のように個票開示理論に関連する他の領域の情報収集にも積極的に努めてきた。 ただ,昨年度まで総務庁(現総務省)統計局統計基準部が主催していた個票開示に関する研究会が今年度は開催されず,その研究会を通して行っていた官庁統計の目的外申請ができなかった。そこで来年度での本研究グループ単独の申請に向けて.現在研究方法について検討している段階である。なお申請する統計としては.労働力調査,家計調査,全国消費実態調査,工業統計調査を予定している。 また本研究グループでは他の研究グループと共同で統計数理研究所の雑誌『統計数理』に「個票開示問題の統計理論」という特集を組むことを提案し受理された。この特集では個票データに関する幅広い内容について投稿を呼びかけているが,本研究グループでも積極的に投稿する予定である。
|