研究概要 |
電波望遠鏡の大きさは現在、限界にきている。観測波長の約1万倍を越える口径の望遠鏡は、重力、風、温度分布の不均一に抗して鏡の面精度を波長の10分の一以下という精度に保つことが出来ない為である。受信機の感度も物理的な限界に近づきつつある現在、より大きな集光面積を実現できなければ、21世紀の電波天文学は壁に突き当たってしまう。 自動車のルームミラーは車が揺れると揺れて,鏡を通して見えている景色もガタガタ揺れる.しかし,眼鏡は鼻の上で多少揺れても眼鏡レンズを通して見えている景色は大して揺れない.つまり,反射望遠鏡の凹面鏡の支えに比べ,透過型の望遠鏡のレンズの支えはいい加減でよい.焦点とレンズ中心を結ぶ直線さえ正しく目的天体の方を向いていれば多少レンズが傾いてもいいし、対称性から考えて折れ曲がったり、あるいはグニャグニャに曲がっていてもいい--即ち面精度もいい加減でよい.これがレンズの優れている点である。 本年度は、約1m四方の22GHz用2枚重ね(約1mm厚の発泡スチロール板の両面に形成)レンズ・アンテナを試作し、性能評価を行い、太陽の電波の受信に成功した。また、フレネル・ゾーン・プレートとの比較により、レンズ面のみの能率を測定した。能率は80%程度と大変高いことがわかった。
|