研究課題
本年度は、ダイオードを内臓したHPD(Hybrid Photo Detector)の大型化に向けた次のステップとして13インチのHPDの試作、試験、改良研究を行った。また同時に、信号読み出しのための電子回路の開発を行った。いくつかの問題点が見つかったが、それに対する解決方法を明らかにした。以下にまとめる。1.高電圧(25キロボルト)印加できず放電してしまう。->光電面を製造中にセラミック絶縁体を加熱し、耐電圧を向上させる。2.ADの短時間での劣化がおきる。->新たに5mmφのADを開発した。寿命は改善したようである。3.有効面積が小さい(240mm)->ADの位置と光電面の曲率を最適化することにより、300mmまで改善できることがわかった。4.HPDの構造全体の最適化->部品の効率化、フランジの強度改善、光電面の曲率の最適化案を作成した。以上の開発により、致命的な技術的困難はなく、大型HPDの優れた基本特性と製作可能性が確かめられたと考える。今後の課題としては、生産性の向上のためのHPDと電子回路の最適なデザイン検討と開発がある。また、コスト低減のために、さらなる大型化の可能性の追求も必要である。