研究課題/領域番号 |
13554007
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 光廣 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90183889)
|
研究分担者 |
吉田 勝一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50304390)
青木 茂樹 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (80211689)
星野 香 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70022738)
|
キーワード | 原子核乾板 / ハロゲン化銀 / 高感度化 / 高解像度化 / 素粒子実験 / 原子核実験 / 放射線測定 / ニュートリノ |
研究概要 |
原子核乾板乳剤の到達感度の結晶サイズ依存性を見る目的で、粒径が0.08ミクロンと、従来の0.2ミクロンに比べてはるかに小さな原子核乾板用乳剤の試作を行い、フイルムに塗布した後その感度の評価を行った。 単分散処方により製造した乳剤の粒子サイズはよくそろっており、単位長さ当たりに素粒子が出会う銀塩粒子の数は100ミクロン当たり920個と推定される。最小電離粒子を用いてその感度を評価したところ、現像可能になった粒子数は100ミクロン当たり10個以下であると測定された。このことから現在の達成感度は現像確率にして約1%以下であり、最小電離粒子検出の目的には不十分である事が判明した。これはAgBr結晶生成に際して、発生した電子-ホール対を効率的に利用できる状態になっていないことを表しており、利用効率のサイズ依存性が思っていたよりも大きい可能性があることがわかってきた。 同じ乳剤のアルファー線を用いた評価では、従来の乳剤ではグレインどおしがくっついてしまい分離不可能であったものが分離可能となり、単位長さあたりのエネルギー損失の測定精度を向上させる事ができることがわかった。最小電離粒子の検出能力に改良点が残るものの、この方向は低エネルギー粒子の粒子識別を必要とする用途、ハイパー核、宇宙線のアイソトープ分離、重イオンを用いた医療などに最適な原子核乾板を志向することになろう。
|