研究課題/領域番号 |
13554010
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺内 正己 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30192652)
|
研究分担者 |
齊藤 晃 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50292280)
津田 健治 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (00241274)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2003
|
キーワード | 軟X線発光分光 / 電子顕微鏡 / 価電子状態密度分布 / 局所領域 / Cu-L発光スペクトル / ボロンナノベルト |
研究概要 |
1.測定エネルギー領域400-1200eVにおいて、従来の回折格子を用いた分光系の2倍の分散能を持つ分光系をデザインした。この分光系を実現させるため、オリジナルの不当間隔ラミナー回折格子の製作を行った。この回折格子と従来の回折格子の併用を可能とするため、検出器の移動機構を組み込んだ分光器チャンバーの設計・製作を行った。 2.軟X線発光分光法の問題点は発光効率の低さである。この欠点を少しでも補い、X線検出効率を向上させるため、全反射を利用したX線用の集光ミラーの設計・製作を行った。集光率を向上させるため、楕円柱面の曲率を持ったミラーをデザインした。デザインした曲率を有する金属製の下地にWスパッタ膜をつけたマイカ薄膜を固定する方法を採用した。この結果、ミラーなしに比べて約4倍のX線強度を得られるようになった。 3.ミラーを組み込んだ新しい分光器で新しい回折格子を用い、CuのL発光スペクトル(〜900eV)の測定を行った。通常の電子顕微鏡用のX線分析器ではエネルギー分解能が100eV程度以上と悪いために1つのL発光ピークしか観測できないが、本研究で作製した分光器では、4つのL発光ピーク(Lα、Lβ、L1、Lη)の観測に成功した。これにより、開発した分光器が十分なエネルギー分解能とS/Nを有していることが実証された。 4.開発した分光器を用い、ボロンナノベルト一本からのボロンK発光スペクトルの測定を初めて行い、βボロンのボロンK発光スペクトルとの比較を行った。その結果、価電子帯の高結合エネルギー領域に新たな状態密度の構造が存在することを明らかにした。
|