研究概要 |
海面上での乱流変動法による物質・エネルギーフラックス自動計測システムの開発のために,これまで基礎研究として行ってきた,動揺する船舶の上で見かけの風速成分から動揺成分を補正して真風速成分に変換して,渦相関法を適用する手法の再検討を行った。 そのために2001年11月から12月にかけて,海洋科学技術センターの海洋地球観測船「みらい」の観測航海に乗船して、動揺補正手法の改良と得られたデータから自動的に動揺補正を行って,乱流フラックスをリアルタイムに計算するためにプログラムを作成した。これは従来,航海終了後に得られた乱流データからバッチ処理で行っていた計算を現場で自動的に行えるようにしたもので,国内ではもちろん初めてのシステムとして画期的なものである。これによって,乗船している研究者は時々刻々変化する乱流フラックスの変化を直接現場で見ることができるようになり,臨機応変の観測体制がとれることになる。また,これによって乱流フラックスのエキスパートが乗船していない場合でも,他の研究者が容易にフラックスについての情報をえることができるようになるので,今後の様々な船への応用面が大きく拡がったことになる。 また,本航海中に物質フラックスの1つとして,二酸化炭素フラックスを渦相関法で直接測定することを試み,約1ヶ月間にわたって連続的にフラックスデータを得ることができた。これはこれまでの大気と海との二酸化炭素濃度をそれぞれ測定して,その濃度勾配にある経験定数を乗じてフラックスを推定する手法に比べると格段に精度の高い方法である。この成功を機に上記の自動観測システムに取り込むことを次年度の研究主題とする。
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