研究概要 |
海面上での乱流変動法による物質・エネルギーフラックス自動計測システムは,昨年度に骨組みが出来上がった。これを用いて船上での自動観測を5月から連続的に運用して,種々の問題点や改良すべき点について調査した。また,前年度は運動量と熱エネルギーフラックスまでの項目であったが,今年度は物質輸送としての二酸化炭素フラックスの自動観測を組み込むことができた。これは世界的にも初の試みで,各方面から非常に注目されている。 観測システムの改良について,ハード的な面では湿度変動計として用いていた機種の光源寿命が短く,年間の連続使用に耐えられるものでなかったので,二酸化炭素変動も同時に測定できる新しい機種に更新した。これによって,少なくとも1年間はセンサーの交換を行うことが不要になり,連続観測システムの完成に大きなステップとなった。また,地球温暖化気体として非常に重要な二酸化炭素フラックスを連続測定できるようになり,これも飛躍的な進歩であった。 2002年11月から12月にかけて,海洋科学技術センターの海洋地球観測船「みらい」の観測航海に乗船して,これまでに見出された問題点について現場で改良を行った。これは研究協力者としての大学院生の成果である。この結果,時々発生していた自動収録システムのエラーによる緊急停止を回避することができるようになった。 これらの成果のもとに自動観測システムで多量に取得したデータについて,適切な品質管理を行って有効なものと削除すべきものとを客観的に区別できるように仕上げることを,最終年度の研究主題とする。
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