研究課題/領域番号 |
13554024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩谷 光彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60187333)
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研究分担者 |
浅尾 哲次 大鵬薬品工業株式会社, 化学研究所, 所長(研究職)
平岡 秀一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10322538)
田中 健太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40281589)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 人工DNA / 金属錯体 / 自己集積 / ヌクレオシド / オリゴヌクレオチド |
研究概要 |
近年、原子・分子・分子集合体からマクロな材料に至る構造と機能の階層性の密接な関係が広く認識されるようになり、ボトムアップ型のナノスケールの分子構築の開発が盛んに行われている。しかしながら、ナノサイズの機能性分子を系統的かつ緻密に構築するための良い設計法は見い出されていない。分子機能の発現の場となる骨格構造を目的に合わせて構築できる方法を確立することにより、ミクロとマクロをつなぐ新しい化学が創出されることが期待される。本申請では、遺伝情報を司るDNAのユニークな構造と機能に着目し、金属錯体の新しいナノ集積化法を提案した。DNAは遺伝情報を司る生体高分子であるが、我々はその分子構造を基に新しい機能性分子を創製する研究を行った。核酸塩基を金属配位子に置き換えた人工DNAを化学的に合成し、これを利用して、金属イオンをトリガーとした、二重らせんや三重らせんなどDNAの高次構造の制御を行った。また、この人工DNAは、二重らせんの中心に、「数」と「順序」を制御して金属イオンを配列化する場として優れている。例えば、人工DNAの中心に、磁性を持つ銅イオンを思い通りに1〜5個、一次元的に並べることができた。二重らせん構造の中で銅イオンは平面四配位型をとり、銅-銅間約3.7オングストロームの距離でスタッキングしている。また、銅イオン間には強磁性的な相互作用がみられ、銅イオンの数に応じてスピン量子数が系統的に変化した。これまでの金属イオンの次元集積化の方法はほとんどが結晶化を基本としていたため、金属イオンの数や、複雑な配列構造を制御することは困難であった。我々は、金属錯体型人工DNA中で、定まった数の金属イオンを思い通りに並べることに成功した。
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