電気化学的原子層エピタキシャル成長による超格子構造形成法の確立

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13554026
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 魚崎 浩平 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20133697)
• 研究分担者: 國松 敬二 エクォスリサーチ(株), 札幌研究室, 研究室長 ; 近藤 敏啓 お茶ノ水女子大学, 理学部, 助教授 (70240629) ; 八木 一三 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40292776)
• キーワード: 固体 / 溶液界面 / SFG / 可視光ポンプ-SFGプローブ法 / 自己組織化単分子層 / 走査型プローブ顕微鏡 / 表面X線散乱法

研究概要

本研究では、金属および半導体の単結晶電極表面における種々の金属のエピタキシャル成長の過程を、電気化学的に制御しながら、STM法などにより原子レベルで追跡し、成長の反応機構を明らかにし、これらの電気化学的エピタキシャル成長法を確立することを目的としている。本年度の研究成果は、以下のとおりである。
1.金単結晶電極の低指数面(111)および(100)面を基板とするPdの電気化学的原子層エピタキシャル成長の初期過程を電気化学過渡応答法を用いて調べた。さらに、二次高調派発生(SHG)分光法により電子構造の決定を行い、特異な触媒活性がみられたサブモノレーヤー領域で特徴的な電子構造をとる事がわかった。
2.GaAs(100)表面への銅析出
半導体上への金属析出は基礎、応用の両面で非常に重要であり、多くの研究が行われている。ここではSHG法によりGaAs(100)上への銅の析出過程を追跡した。GaAsはバルクでもSHG活性であるが、電析に対応したSHG応答が見られ、原子間力顕微鏡の測定結果とあわせて検討した結果、銅のナノクラスターの形成が起こる事を明らかにした。
3.水素終端Si(111)上への銅の析出
電気化学および反射赤外分光法により、H-Si(111)上への銅の析出過程を追跡し、反応中間体を明らかにした。
4.Au(111)表面上へのDMF中でのRu析出
多様な金属の電析を定理する為には非水溶媒の利用が不可欠であり、ここでは金電極上へのRu析出をDMF中で行った。STM測定により浸漬初期には金の再配列構造が存在する事、また時間とともにDMFの吸着層の形成・成長が起こる事、さらに電位の印加によりRuが析出する事を確認できた。

研究成果

• [文献書誌] H.Kawamura: "Evidence for the Diffusion of Au Atoms into the Te UPD Layer Formed on a Au( 111) Substrate"Journal of Electrochemical Society. 149. E1-E5 (2002)
• [文献書誌] M.E.Quayam: "Mechanism for Nucleation and Growth of Electrochemical Palladium Deposition on an Au(111) Electrode"Journal of Electroanalytical Chemistry. 520. 126-132 (2002)
• [文献書誌] M.Takahashi: "Heteroepitaxial Growth of CdTe on p-Si(111) Substrate by Pulsed-Light-Assisted Electrodeposition"Applied Physics Letters. 80. 2117-2119 (2002)
• [文献書誌] T.Kondo: "In situ Structural Study on Underpotential Deposition of Ag on Au (111) Electrode Using Surface X-ray Scattering Technique"Journal of Electroanalytical Chemistry. 532. 201-205 (2002)
• [文献書誌] T.Saito: "In situ Study of Ultra-thin Film Formation on Au(111) Surface in Propylene Carbonate by Scanning Tunneling Microscopy Under Potential Control"Journal of Electrochemical Society. 149. E286-E291 (2002)
• [文献書誌] T.Kondo: "A Novel Spectroelectrochemical Cell for in situ Surface X-ray Scattering Measurements of Single Crystal Disk Electrodes"Electrochimica Acta. 47. 3075-3080 (2002)
• [文献書誌] T.Saito: "In Situ Scanning Tunneling Microscopy Study on Surface Film Formation and Lithium Underpotential Deposition Process on Au(111) Surface in Propylene Carbonate"Journal of Electrochemical Society. (in press).