研究課題/領域番号 |
13554027
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研究機関 | 平安女学院短期大学 |
研究代表者 |
酒井 洋 平安女学院短期大学, 生活学科, 助教授 (90310648)
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研究分担者 |
梅村 純三 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90027061)
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キーワード | Langmuir膜 / 赤外スペクトル / 外部反射 / ステアリン酸 / ステアリン酸亜鉛 / ステアリルアルコール / 水面上単分子膜 / 赤外分光器 |
研究概要 |
赤外外部反射法は、Langmuir膜(水面上展開単分子膜)の分子レベルの構造評価に威力を発揮する測定法の一つだが、その赤外スペクトルを測定する際に、赤外線がLangmuir膜の構造を乱すことがある。本研究では赤外線がLangmuir膜に与える影響の詳細を調べ、正確な赤外外部反射スペクトルの測定が可能となる条件を探り、そのための装置の試作を行うことを目的としている。本年度は以下のことが明らかとなった。 ステアリン酸Langmuir膜の場合、L_2相(液体凝縮膜相)と気体膜相との共存状態(表面圧がほぼ0)のLangmuir膜の赤外外部反射スペクトルを測定したところ、本来観測されるはずのメチレン伸縮振動バンドが現れなかったが、L_2相、そしてさらに圧縮したLS相(固体膜相)においてはバンドは観測された。ところが、ステアリン酸亜鉛Langmuir膜の場合は、LS相はもとより、表面圧がほぼ0であるLS相と気体膜相との共存状態にあるLangmuir膜においてもバンドは観測された。この違いは、ステアリン酸の場合は、分子がLangmuir膜中で動きやすく、赤外線照射によるLangmuir膜の温度上昇が引き起こす分子排除の影響を受けやすいが、ステアリン酸亜鉛の場合は、亜鉛イオンがステアレート分子と強く結びつき、またさらに亜鉛イオンを通してステアレート分子がネットワーク的に結びついているために分子がLangmuir膜中で動きにくくなっているためによるものと考えられる。さらにこれはLangmuir膜中のドメイン形成とも関連があるものと考えられる。またL_2相、LS相は表面圧が高いために、分子は動きにくく、赤外線の影響を受けていないと解釈できる。 続いて、ステアリルアルコールのLangmuir膜で同様の実験を行ったが、ステアリン酸とほぼ同様の結果となった。
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