研究概要 |
単一細胞内の化学過程、即ち生理活性物質の量と分布,及びそれに続く情報変換・増幅過程を"可視化"すること-単一細胞内での目的物質の空間分布,動態及び絶対量を定量的に評価すること-を目的とし,非破壊的な直接動的状態観測を行うための新しい分析試薬と検出法の開発を行なった. 1.蛋白質スプライシング反応を起こす蛋白質VDEを用いた蛋白質間相互作用の検出法(スプリットGFPシステム)を開発した.(Anal. Chem., 72, 5151-5157(2000)).スプライシングを起こす蛋白質に,Syne chocystis sp. PCC6803由来のDnaE蛋白質を用いることにより,スプライシング効率を向上させることが可能となり,高感度に検出できることを示した(Anal. Chem., 73, 5866-5874(2001)).またGFPの代わりに生物化学発光蛋白質のホタルルシフェラーゼを用いた蛋白質間相互作用の検出法を開発し,哺乳類細胞における蛋白質リン酸化を検出できることを示した(Anal. Chem., 73, 2516-2521(2001)). 2.細胞内標識可能な疎水場感受性蛍光試薬(BArNile)を開発し,カルシウム依存的なカルモジュリンの構造変化を単一細胞レベルで可視化検出した(Anal. Chem., 73, 2920-2928(2001)). 3.循環器・脳神経系における主要な細胞内情報伝達分子のサイクリックGMPを生きた細胞内で可視化検出する蛍光プローブ分子(CGY;シージー)を遺伝子工学的手法を用いて開発した(Anal. Chem., 72, 5918-5924(2000)). 4.蛋白質のリン酸化を生きた細胞内で可視化検出する蛍光プローブ分子(phocus;フォーカス)を遺伝子工学的手法を用いて開発した.(Nature Biotech., in press(2002))
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