研究概要 |
平面ガラス板の上に金を蒸着し,厚さ200nmの金薄膜を生成させ,それを顕微鏡下で波長355nmのパルスレーザーでアブレーションし,平面型四重極電極もしくは八重極電極を自作する方法を確立した。生体機能性微粒子として,まず糖結合性を有するレクチンタンパク質の一種であるコンカナバリンA(ConA,分子量104,000)に注目した。作成した平面型多重極電極上で,テトラメチルローダミンで蛍光標識したConA,およびそれに様々な種類・分子量の糖を添加し,糖との会合によって,ConAの誘電泳動挙動がどのように変化するかを蛍光顕微鏡下,高感度CCDカメラを用いて観測・測定した。 単一ConA分子の誘電泳動挙動については,まだ検出感度が不十分なため,観測するには至って無い。しかし,デキストラン(分子量482,000)との会合体では,周波数(100kHz-1MHz)領域では泳動は観察されなかったものの,低周波数(10kHz)で正の誘電泳動(電場強度の大きいほうへの泳動)が観測された。この挙動は,先に検討したDNAの誘電泳動と類似の傾向であり,ConA-デキストラン会合体表面のイオン雲の存在,および高い表面伝導率が示唆された。
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