研究課題/領域番号 |
13555002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤原 康文 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10181421)
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研究分担者 |
野々垣 陽一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (40300719)
田渕 雅夫 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (90222124)
竹田 美和 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20111932)
町田 英明 (株)トリケミカル研究所, 技術開発本部, 主席研究員
高幣 謙一郎 アンリツ(株), 研究所, 主席研究員
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キーワード | 希土類添加III-V族半導体 / 新規半導体レーザ用材料 / 原子レベル制御成長 / 誘導放出 / エルビウム / ダブルヘテロ構造 / ヘテロ界面制御 |
研究概要 |
本研究では、「電流注入による希土類元素発光の誘導放出(レーザ発振)」を最終目標とする。そのために、高品質な希土類元素添加III-V族半導体の作製を目指して、これまでに掌握している有機金属気相エピタキシャル(OMVPE)法を用いたIII-V族半導体への希土類元素添加技術を再点検し、高い発光効率を示すように設計された希土類原子周辺局所構造を選択的に作り込む、原子レベル制御不純物添加技術に発展させることを第一の目的とする。その際、新規希土類原料の設計および合成技術や、蛍光EXAFS法やX線CTR散乱法といったミクロ構造評価技術との有機的連携は不可欠である。さらに、キャリアと光の閉じこめ機能を有するレーザ構造を作製し、「光励起」および「電流注入」による希土類元素発光準位を介する誘導放出の観測/高効率化を世界に先駆けて行うことを第二の目的とする。 現在のところ、Er添加GaAsとGaInPからなるダブルヘテロ(DH)構造を取り上げ、Er添加条件および構造の最適化に取り組んでいる。 これまでの研究において、以下の知見を得ている。 1.GaAs/GaInPヘテロ構造はAs/P界面を有することから、急峻な界面構造を得ることが困難な材料系として知られている。原料ガスフローを物理的に分離する反応管構造や、界面形成を550℃以下で行う成長温度シーケンスを用いることにより、原子レベルで急峻な界面構造を得ることに成功した。(特許出願:2件) 2.pn制御を施したDH構造において、室温においてErに起因する電流注入発光を観測した。その発光強度の注入電流密度依存性や、発光の立ち上がり/立ち下がり時間の解析を通じてErの励起断面積を見積もったところ、今日、実用化されているEr添加光ファイバ増幅器のものと比較して、5〜6桁高い値が得られた。このことは物理的な素子サイズが極めて小さい固体光増幅器の実現可能性を示唆している。(特許出願:1件)
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