研究概要 |
シリコンの熱伝導は,混在する3種類の同位体による格子散乱と,不純物による散乱によって低減する.本中請では,単一同位体結晶を完成することにより同位体散乱を完全に排除したシリコン単結晶を完成し,不純物散乱の効果のみを純粋に測定することを目的としている.他グループの研究から,シリコンの同位体純度を99.985%に高めることによって,室温における熱伝導度が,天然のSiと比較して,60%も高いことが発表されている.今回のわれわれの研究では99.92%の高純度同位体シリコンを作成することに成功し,その熱伝導度を測定したところ,従来の発表とは異なり,上昇はわずか20%程度であった.この結果は,試料の品質によるものか,根本的な値なのかを確認することが必要であり,現在追試を行っている.この根本的な問題を解決した後に,O, C, P, B, Sbといった異なる不純物を系統的に添加して、濃度依存性と不純物種依存性を明らかにする予定でいる.
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