研究概要 |
アゾベンゼンは光を照射することで分子がトランス体からシス体への異性化する代表的な分子である.光異性化により吸光度や屈折率が変化するため,光記録材料として注目されている.この現象の他に,光異性化による分子の体積変化によると見られる現象が現れ,干渉縞を投影すると,アゾベンゼン薄膜の表面に周期的な溝構造(表面レリーフ)が出来ることが発見された.我々は,アゾベンゼンを側鎖に持つ高分子材料による光回折光学素子の研究を開始し,表面レリーフを用いた機能性光拡散板の開発に初めて成功した.同時に,この材料系を用いて,ホログラムの記録再生にも成功し,光記録材料としての有効性も示した.また,加熱によりホログラムの消去が可能であることも確認した.この研究を行う過程で,表面レリーフホログラムにコロナ帯電をさせると,回折効率が著しく増加する現象を発見した. 本研究では、アゾベンゼン高分子薄膜上に表面レリーフ形のホログラムを形成し,これをコロナ帯電させることでレリーフ深さを増大させ,回折効率をほぼ理論限界である30%程度まで向上することが出来ている.この結果を踏まえ,最適なホログラム作成条件の探索とコロナ帯電を含む自動ホログラム作成装置の開発を,主として研究した.
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