研究概要 |
本研究は,一般には流体機械に致命的損傷を与えるキャビテーション気泡の崩壊衝撃力を,逆転発想的研究により,キャビテーション噴流により制御してピーニングに有効利用するショットを使用しない(ショットレス)ピーニング,すなわちショットレス・ピーニングによる機械やプラントの構成部品の疲労強度向上や耐食性向上の実用化を目指して,ショットレス・ピーニング装置の試作,および最適加工条件の確立を目的とする.本年度は,以下の研究項目を実施し,初年度の研究を発展させ,ショットレス・ピーニングの環境保全型加工法への展開を図った. 1.低速水噴流用噴射ノズル口径の最適化 平成13年度に試作したショットレス・ピーニング装置を用いて,壊食試験やキャビテーション衝撃力の計測により気中キャビテーション噴流の加工能力を計測して,同ノズルの最適ノズル口径を明らかにした.さらに疲労試験を行って,ショット・ピーニングの結果と比較した. 2.最適加工速度の確立 ショットレス・ピーニングの実用化において重要なパラメータである加工速度の最適加工条件を確立するために,平成13年度に試作した装置により種々の条件でピーニングし,電解研磨により表面を除去して残留応力を計測した.加工速度と材料内部の残留応力分布の相関を明らかにし,圧縮残留応力導入・疲労強度向上における最適加工速度を明らかにした. 3.最適作動流体の選定 キャビテーション噴流ならびに低速噴流の作動流体についてpHなどを考慮して耐食性を飛躍的に向上させるショットレス・ピーニング条件を明らかにした.
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