研究分担者 |
森井 幸生 日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 研究員
神山 崇 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (60194982)
田中 啓介 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80026244)
木村 英彦 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60345923)
林 眞琴 (株)日立製作所, 機械研究所, 研究員
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研究概要 |
(1)炭化ケイ素粒子強化アルミニウム合金複合材料を,中性子照射下で一軸引張り試験装置によって負荷し,任意の負荷応力に対する,炭化ケイ素相およびアルミニウム合金相のひずみをその場測定した.その結果、炭化ケイ素相については,116回折面が,またアルミニウム合金相については,222回折面が,高精度なひずみ測定に適することを明らかにした.また,回折弾性定数は,単結晶の弾性定数をもとにしてクレーナーモデルより求まる値とほぼ一致することを示した.各相の応力とひずみの関係は,ETMモデルおよびセルフコンシステントモデルによって予想される値とよく一致することを示した. (2)TiNi形状記憶合金の切欠き材に4点曲げ負荷を行い,切欠き近傍の塑性変形領域の同定を行った.TiNi合金は,ひずみ負荷とともにオーステナイトからマルテンサイトに変態する.ここでは,中性子照射体積を十分小さく絞り,回折強度変化を平面内でマッピングすることによって,その変態領域の大きさを同定することに成功した. (3)ショットピーニングによる表面改質材を用いて,表面近傍の応力測定を行った.中性子法では,表面近傍ではひずみ測定精度が低下する.ここでは,あらかじめ応力分布のわかっている試料を用いて,その測定精度を明らかにした.表面近傍での精度低下の原因は,中性子ビームの発散角にあることを明らかにし,中性子導管中の発散角,モノクロメータによる発散角,さらにはスリットによる制限領域の大きさと,回折角の関係から幾何学的に説明できることを示した. (4)中性子の単色化にはSiモノクロメータを湾曲させて強度を高めるが,このときのモノクロメータ内部の応力分布が不明であった.ここではSi単結晶の応力測定を可能とし,材料内部の応力分布が弾性はり理論により予測される傾向とよく一致することを示した.
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