研究分担者 |
谷 周一 三菱電機株式会社, 先端技術総合研究所, マネージャー(研究職)
田中 和人 京都大学, 工学研究科, 助手 (50303855)
箕島 弘二 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50174107)
番 政広 三菱電機株式会社, 先端技術総合研究所, マネージャー(研究職)
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研究概要 |
マイクロマシンやマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の実用化は,機械としての信頼性を確保した上で初めて成り立っものである.とくに近年では,Si単結晶ウェハなどを用いたバルクマシーニングにくわえ、ポリシリコン薄膜やSi_3N_4薄膜など,従来は機能材料として用いられてきた薄膜が構造材として用いられるようになってきた.このような薄膜では,強度特性のみならず機能設計の基本となる弾性係数やポアソン比などの機械的特性も,薄膜の製造方法やその設定条件に大きく依存するため,個々の薄膜の特性を把握する必要がある.そこで,本研究では,特に薄膜に注目して,薄膜の引張試験により弾性係数や破断強度・疲労強度特性などの機械的特性を測定可能となる薄膜マイクロ構造機械的特性評価試験機を試作することを目的とする.本年度は,前年度に開発したピエゾ駆動アクチュエータによる引張試験機,2視野顕微鏡による非接触ひずみ測定システムからなる薄膜マイクロ構造機械的特性評価試験機の試験精度向上を図るとともに,厚さが3.5μmのポリシリコン薄膜試験片を用いて引張試験を行い,破断強度,弾性率などの機械的特性評価を行った.なお,ここでは新たに考案した接着剤による試験片チャッキング方法を採用することにより,試験中のチャック部でのずれやはがれのない引張試験方法を確立した.また,集束イオンビームによる切欠きが引張強度に及ぼす影響を検討するとともに,本試験機を原子間力顕微鏡(AFM)内に設置し,AFM観察によるひずみ測定を試みた.さらに,疲労試験が可能となる制御ソフトウェアの開発,試験機の改良を行い,薄膜マイクロ構造の疲労試験が可能であることを確認した.また,水環境下での疲労試験を行い,本試験機が水環境下といった過酷環境下における動的環境強度特性評価が可能なことを確認した.
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