研究概要 |
本研究の目的は,逆問題解析に基礎をおく二次元・三次元き裂の直流電気ポテンシャル測定法として,申請者らが開発した電気ポテンシャルCT法を拡張して,空間的電磁場計測に基づく非接触の能動型および受動型電気ポテンシャルCT法を開発することにある. 平成15年度に得られた主な研究成果は,以下の通りである. 1.二次元貫通斜めき裂を有する試験片にピエゾフィルムを貼付し、試験片に力学的負荷をかけた場合について,ピエゾ材料表面上に現れる電気ポテンシャル分布の応答より,き裂の位置と大きさを推定する実験を行った.斜めき裂のパラメータの位置,傾きおよび寸法を精度よく推定することができることが明らかとなった. 2.二次元複数き裂を有する試験片に貼付されたピエゾフィルム上の電気ポテンシャル分布の応答より,き裂の位置と大きさ、ならびにき裂の個数を推定する数値シミュレーションを行った.複数のき裂が相互に接近し電気ポテンシャルに表れる極値の個数が単数き裂のそれと同じである場合においても,残差とともに情報量基準AICを用いることにより,き裂の個数と,き裂の位置,寸法を推定することができることがわかった. 3.二次元的な界面剥離を有する積層複合材料の剥離を同定する実験を行った.積層複合材料の表面にピエゾフィルムを貼り付け三点曲げを負荷した場合について,ピェゾフィルム上に現れる電気ポテンシャル分布より,層間界面剥離を同定した.ポテンシャルに表れる特徴を明確にするため,欠陥がない場合のポテンシャルとの差を取り,さらにその分布を最大値で基準化することにより,剥離の位置,寸法を推定することが可能であることがわかった.剥離の深さが浅い層間にある場合には,深さを推定することができたが,深い層間にある場合には深さを詳細に推定することはできなかった.
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