研究課題/領域番号 |
13555028
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中佐 啓治郎 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80034370)
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研究分担者 |
西田 秀高 中国電力株式会社, 技術研究センター, 専任副長(研究職)
加藤 昌彦 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70274115)
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キーワード | セラミックス / 高温 / はく離強度 / その場測定 / エッジインデント試験 |
研究概要 |
ジェットエンジン、発電用ガスタービンなどでは、熱効率の向上と長寿命化が重要な課題となっている。現在、高温部材に、耐熱・耐酸化・耐摩耗性にすぐれたセラミックスを溶射する方法が採られているが、熱・応力サイクル、界面酸化、粒子衝突などにより、コーティング皮膜の損傷・はく離が生じる。また、高温鍛造用溶射コーティング金型では、高温での繰返し使用により、溶射皮膜のはく離が起こる。このため、皮膜の高温での損傷・はく離強度を直接測定できる装置の開発が待たれていた。 そこで、昨年度は、高温で皮膜のはく離強度を測定できる、「高温エッジインデント装置」を開発した。本年度は、この高温エッジインデント試験装置を用いて、種々の実験を行い、装置の特性を明らかにするとともに、その有効性を確かめた。 まず、ガスタービン用遮熱コーティング(Ni基超合金に8%Y_2O_3・ZrO_2を溶射)についての実験の結果、つぎの点が明らかになった。1.高温(800〜1000℃)では、荷重-変位曲線に折れ曲がりが生じにくいので、コーテイングのはく離が起こる荷重の決定が難しい。赤外線加熱炉の側面からのはく離観察は、押し込み速度が大きい場合には困難であるので、荷重増減法(荷重を変化させながら押し込み、その都度はく離を調べる方法)により、はく離の上限値および下限値を決定することができる。2.圧子の頂角は、はく離強度に影響を及ぼす。常温では、頂角80度でも120度でも、はく離エネルギーに差はないが、高温では頂角120度のほうが、はく離エネルギーが大きい。したがって、頂角の小さい圧子を用いる必要があることが分かった。高温で圧子を押し込むため、圧子を窒化ケイ素で作製したが、頂角を80度とすると、破損しやすい。したがって、今後圧子の頂角と材質については検討を要する。 つぎに、金型用高速フレーム溶射皮膜(WC-10%Co)については、使用温度が600℃以下であり、SKD6基材の軟化も小さいので、皮膜のはく離を十分検出でき、はく離エネルギーの測定が可能である。
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