研究概要 |
光学機器の小型軽量化,高画質化に伴って,光学系のキーパーツである非球面レンズの要求精度はますます高度化している.特に最近,従来のプラスチックレンズに代わりガラスレンズへの期待が高まっている.非球面ガラスレンズの製造法はガラスモールド法と直接加工法の2つに大別されるが,従来は前者にあっては金型を,後者にあってはレンズ本体をいずれもダイヤモンド砥石で研削後,研磨で鏡面加工をする工程がとられてきた.しかし研磨加工では形状加工精度が劣化しやすく,それを避けるためには修正研磨法などに依らざるを得ない.これが非球面レンズのコストを非常に高価にする大きな要因であった.そこで研究代表者らは工作物回転方向と研削方向が直交する従来の研削法に代わり両者が直交する「パラレル非球面研削法」を提案した.その結果,従来の非球面研削法に比べ,仕上面粗さを飛躍的に向上させることができた. 本年度は機械の運動誤差測定と機上形状測定とを組み合わせた加工制御プログラムを作成した.そして昨年度の研削装置を使用し,研削加工を行った.その結果,デジタルカメラ用非球面ガラスレンズ(直径25mm)を直接研削加工し,形状精度±50nm,表面粗さ32nmRyとなり,形状精度で約1/5,表面粗さで2/3の良好な加工面が得られた.
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