本研究の成果をまとめると次のようになる。 (1)高精度凸型非球面ガラスレンズの加工技術の確立 本研究は、口径20〜150mm、形状精度0.1μm、粗さ10nmのガラス製非球面レンズの加工を達成することを目標にして行われた。(1)豊田工機(株)製の非球面加工機AHN60-3Dをパラレル研削方式に改造した。(2)CG法を応用した高精度球面ツルーイング法を開発し、直径75mmのSD600〜SD5000の球状ダイヤモンド砥石を、形状精度1μmに成形することができた。(3)レジンボンドの材質やフィラー、発泡剤などを変えて、非球面ガラスレンズの超精密鏡面研削用ダイヤモンド砥石を開発し、最終的に、表面粗さ30nm Ry、形状精度0.1μmを達成した。(4)口径150mmの非球面レンズの研削を行い、口径の大きなレンズでも1パスの研削における砥石の摩耗がほとんど無視できるため、高精度の加工が可能であることを実証した。 (2)超硬合金製凹型非球面およびマイクロ非球面金型の加工技術の確立 (1)マイクロ非球面形状の最小曲率半径に合わせ、先端直径1mmの#600-3000のレジンボンドの小径ボールダイヤモンド砥石を設計・製作した。(2)ステンレスパイプを用いたラッピングにより、非球面研削盤の機上で球面ツルーイングする方法を開発した。(3)内視鏡用の超硬製非球面レンズ金型の研削を行った。直径2mmの非球面レンズ金型で、表面粗さ50nm、形状精度0.1μmを得た。(4)エアーマイクロプローブをもった機上測定システム、ソフトを設計・試作した。測定分解能は10nm、ダイナミックレンジ10mmであった。(5)アークツルーイング装置の誤差要因の理論解析を行い、その補正法を明らかにした。その結果、0.1μmP-V以下の形状精度が得られた。
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