研究概要 |
従来の加工方法としてQスイッチ短パルスNd:YAGレーザ第3高調波を用いたサファイヤの表面除去加工の特性について評価した.なお,評価においては,レーザ照射後の加工痕の顕微鏡観察(光学顕微鏡,SEM,AFM)を行ない,各場合の形状精度および熱影響(溶融・ひび割れ)について比較・評価した.さらに,加工サンプルをエッチング処理(熱燐酸あるいはイオンエッチング)した後,同様に顕微鏡観察し,各場合の熱影響深さを見積った. また,新たにNd:YAGレーザ発振器,非線型光学結晶,各種光学系および温度調整器を導入し,第五高調波を発振させ,良好なビームモードのパルス発振が可能なシステムを構築し,加工実験を行った.特に低エネルギパルスでサファイヤ基板に照射したときの照射痕ならびに加工変質層の深さ・幅について比較検討した.その結果,第5高調波を用いた場合,基本波,第3高調波と比較してデブリの少ない清浄な除去加工が可能であることが確認された.また,レーザによる除去深さが0.8μm程度(あるいは照射パルス数が5発程度)までは,除去深さ(あるいはパルス数)の増大に伴って熱影響深さが増大し,この場合の熱影響深さは除去深さの50%程度であった.除去深さが0.8μm程度(パルス数が5発程度)以上(〜10μm程度まで)の場合では,熱影響深さがほぼ一定値(0.5μm程度)となることが確認された.また,除去面積はレーザ照射パルス数が5発程度まではパルス数の増大に伴って増大し,それ以上のパルス数では面積の増分が緩やかになり,この場合の影響層の径方向の幅は1〜3μm程度で,これはパルス数が5発程度まではパルス数に伴って増大し(直径の3%程度に相当),それ以上のパルス数ではほぼ一定(同7〜10%程度)となることが確認された.
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