研究概要 |
次世代型の圧力センサや流量センサのセンサ部の中核には,サファイヤを微細加工した要素部品の利用が検討されている.本研究では,サファイヤの微細加工技術の一方法として,Qスイッチ短パルスNd:YAGレーザ第五高調波を用いた加工方法について検討している.特に,今年度は,以下の点について検討した. (i)Qスイッチ短パルスNd:YAGレーザ高調波(第五高調波)による微細加工特性の評価 YAGレーザ高調波を用いたサファイヤ表面の精密穴加工,精密溝加工,表面除去(研磨)加工のそれぞれの加工特性について評価した.なお,評価においては,レーザ照射後の加工痕の顕微鏡観察(レーザ顕微鏡,SEM,・AFM)を行ない,各場合の形状精度および熱影響(溶融・ひび割れ)について比較・評価した.穴加工,溝加工,表面加工のいずれの場合においても良好な加工形状が得られた.特に,表面加工においては,比較的均一なエネルギー分布をもつビームを照射することで,平均表面粗さが200nm程度の良好な表面が実現できた. (ii)PC制御X-Yステージによる微細加工システムの構築 Qスイッチ短パルスNd:YAGレーザ高調波発振システムとX-Yステージをパーソナルコンピュータで制御することにより,二次元パターンおよび擬似三次元形状(二次元パターンの重ね合せ)の微細加工を可能とするシステムを構築した.これにより,任意形状,すなわち直方体形状,あるいは四角錘形状などの除去加工を行い,加工物については,レーザ顕微鏡により形状評価を行った.計測の結果,レーザのフルエンスが60J/cm^2程度以下の条件で,表面の熱損傷の比較的少ない除去加工が15μm/pulse程度以下(〜1μm/pulse)の加工精度で実現可能であることが確認された.
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