研究概要 |
本研究では,まず,平行四辺形ループを一つ有する従来の2自由度パンタグラフ機構に,さらに二つの平行四辺形ループが加わるようにリンクを付加した新しいヒンジとリンクの一体化パンタグラフ機構を提案し,入力運動とは無関係に,出力節の姿勢が一定となるようにした.具体的には,付加すべきリンクの構成について検討し,16種類の出力節の姿勢一定化が実現可能な新しいパンタグラフ機構の中から,各リンク間の相対角変位および干渉を考慮して1種類のパンタグラフ機構を選定するとともに,その形状寸法を設計した.ついで,この設計されたパンタグラフ機構の入出力変位関係を理論的に明らかにするとともに,パンタグラフ機構の材料となる樹脂の選定を行い,長寿命の特徴を持つポリプロピレンを材料として選定した.つぎに,.変位解析により決定したヒンジ部における各リンクの先端角を考慮して,金型の形状を決定し,ヒンジとリンクの一体化パンタグラフ機構について,金型の製作を行い,ポリプロピレンを材料とするパンタグラフ機構を具体的に製作した.さらに,製作されたパンタグラフ機構について,ピックアンドプレイス作業を行う出力節の姿勢角を実験により求め,パンタグラフ機構のピックアンドプレイス作業時における出力節の姿勢角誤差を求めた結果,提案したパンタグラフ機構の出力節の姿勢がほぼ一定となることを確認した.また,動的出力変位誤差を検討するために,ヒンジ部に作用するモーメントを弾性変形復元モーメントと粘性減衰モーメントとの和として考え,ヒンジ部の形状寸法によらない等価ばね定数と粘性減衰係数を,実験によるヒンジの振動減衰波形の複数の振幅値から求め,それぞれ,(1.6~1.9)×10^8(g・mm^<-1>・s^<-2>),および(2.4~2.8)×10^4(g・mm^2・s^<-1>)であることを明らかにした.今後はこれらの値を用いたパンタグラフ機構の動的理論解析・実験解析を行う予定である.
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